MIYATA
院長ブログ
2022.07.29 - Fri
医療行政
保険診療皮膚病診療の実態
当サイトご訪問の皆様
ブログの読者の皆様
こんにちは
ミヤタ メディカル クリニック
院長 宮田 晃史です。
今回は日本皮膚科学会が作成した
円形脱毛症診療ガイドライン 2017
の解説をします。
以下に当方でネット上で検索できる
メーカー提供の情報と学会提供の資料を
主としてまとめました。
そもそもガイドラインって何?
何十年も前、
当方が医師になった頃は
国内学会が作成した
主だった病気の診療ガイドラインは
存在しませんでした。
質の高い論文を吟味して、
妥当な診療内容を見きわめます。
それを用いて診療の質を
均一化したのがEBMと言われるもので、
国内の各学会が有名な疾患の
EBM を根拠にガイドラインを作りました。
実際は当時の保険診療で医師が
日々従事している診療内容を
まな板に乗せて吟味したものです。
またupdateされるものが
賛否問われることもあります。
ちなみに、
・海外で行われている診療
・保険適応外での診療
については全く主たる話題には
なっていません。
円形脱毛症治療方法とお金の流れ
推奨度解説
A:強く推奨する
B:推奨する
C:行ってもよい
D:行わない方がよい
これだとわかりづらいので、
こんな感じにまとめました。
皮膚科業界の
教育カリキュラムに
含まれているかと評価の差を
見てみましょう
教育プログラムに 入っているか? | 総数 | ガイドライン上 推奨する | ガイドライン上 推奨しない |
---|---|---|---|
含まれる | 9 | 9 | 0 |
含まれない | 20 | 5 | 15 |
上記の表で見ると、
保険皮膚科医師がやっている
診療が質の高い事を
証明しています。
当サイト内で述べていますが、
質の高い調査がなされていても、
局所免疫療法が推奨度Bで、
有効率30-40%なのは、
どうなのでしょうか?
また局所免疫療法の有効率は
2次文書の診療ガイドラインには
記載されていません。
C1群の治療薬の添付文書上の
有効率が60%前後なのは、
どうなのでしょうか?
この薬剤群の有効率も
2次文書の診療ガイドラインには
記載されていません。
では保険適応外の治療手段は
どの様に評価されているのでしょうか?
総数 | ガイドライン上 推奨する | ガイドライン上 推奨しない | |
---|---|---|---|
保険診療である。 | 9 | 9 | 0 |
自費診療である。 | 20 | 4 | 16 |
保険診療での治療はガイドライン上
100%推奨されるが
自費に関しては20%程度の項目が
推奨される
という事になります。
では保険適応のないもので、
ガイドライン上推奨される
内容を挙げてみます。
・かつら
・凍結療法
・抗ヒスタミン薬
・局所免疫療法
つまり、
・塗る
・処方(販売)したり
・イボの冷凍凝固と同じ処置
は推奨しています。
日々の仕事でやり慣れている
簡単な診療と治療は
推奨しています。
・免疫抑制剤・精神科の薬といった
使い慣れていない薬
・催眠療法、心理療法、アロマ、鍼灸
、漢方、PRPといった
皮膚科専門医カリキュラム外の治療は
根拠がない、データが少ないという理由で
推奨しないとしています。
保険診療の メーカーの利益 | 総数 | ガイドライン上 推奨する | ガイドライン上 推奨しない |
---|---|---|---|
ある | 16 | 12 | 4 |
ない | 13 | 2 | 11 |
上記3つの表で分かることは、
保険診療医師が普段診療していること=メーカーの売上維持=ガイドラインで推奨
という事です。
ちなみに、
ガイドラインで推奨の
理由をよく読むと
こんな感じに書いています。
推奨する理由
・セファランチン & フロジン
そんなに効かないけど、今まで使ってきたから。
→有効な証拠ないですけど、大丈夫ですか?
推奨されない理由
・PRP
効果は見込まれるが、データが少ない。
・ミノキシジル
国内では実証されていない
→セファランチンとフロジンは
有効なデータないけど使っているのに、
PRPとミノキシジルは
何故推奨しないなのですか?
また、
根拠がない≓調査されていない
という事もありえます。
調査がされていない物は
ダメなのでしょうか?
このガイドラインは
2017年のものなので、
将来何らかの改善は
なされていくとは思います。
それも踏まえて現段階での
現実をお伝えしました。
当方は明らかに偏った方針と
思います。
おそらく他の病気はてまた他の業界も
同じような話はあると思います。
ですので、患者さんにお伝えします。
皮膚科専門医は円形脱毛症診療に関して、
患者さん目線での公平な見聞は
持っていません。
脱毛症は軽症の場合、
結構どこでも治ります。
軽症の脱毛症治療は、
効果・費用・アクセス・安全性
に関してはとても良いと思います。
しかし、
抜け毛、重症、治らない、繰り返し
は保険の病院回っても治せないことが
あります。
だから、
保険証を持って病院に行けば大丈夫!
ということは全く保証されていません。
しっかり脱毛症を治したい方は、
自費体質改善外来の受診をお勧めします。